遅寝遅起ホットスナック

感想検証実験日記

アメリカンドッグを食べてから行くべきだった

 子どもの頃から読書が好きだった。毎年学校で指定される年間貸出目標冊数は達成して当然だったし、休み時間や、テストを早く解き終わって余った時間も、給食を食べ終わったあとも本を読んでいた。「なに読んでるの?」と表紙を覗き込んできたクラスメイトが、数日後にその本を借りて読んでいたときは嬉しかった。でも、ここ最近は本を全然読まなくなった。現在は、漫画やアニメに熱中している。

 

 今や動画配信サービスの充実により、映画が家でも観られるようになった。映像作品は面白い。目で見て、耳で聞く。人の表情を、体を、動きを見て、音を聞く。主題歌もまたひとつの楽しみ。セットや衣装にもこだわりがたくさんあって、カメラワークにもなにか意図があるはず。登場人物の感情とリンクした揺らぎ、あの子あの人の視線で見る世界。

 でも、ふと思うことがある。この映画のこのシーン、文字ではどう表現しているんだろう。文字というか、文章では。例えば、映像で見れば誰もが一発で「夏」とわかるような景色を、本の中ではどう表現しているんだろう。あの子が泣いている場面を、誰の目線で、誰の気持ちをなぞって書いているんだろう。

  いや、私はきっと知っている。あれだけ本を読んできたんだから、「夏」のことを書いていた文も、誰かが泣いていることを書いていた文も絶対あったはず。知っていたけど、もうわすれてしまった。別にわすれていたって困ることはない。でも、なんだか文章が恋しくなる。本を老後の趣味にと思っていても、実際は老眼やらなんやらで読書どころではなくなるらしい。だったら今、まだ読めるうちに読んでいたほうがいいのかもしれない。

 

 そんなこんなで先日、何年ぶりかに図書館へ行ってきた。夕飯前に寄る静かな図書館、腹の虫との相性は最悪。本を選びながらも、腹が鳴るかもしれないと焦る。

 そうこうしているうちに、私の隣に人がやってくる。同じ棚の本を見ている。腹の鳴き声を聞かせてしまうわけにはいかないので、別の離れた棚へ逃げる。そして本を選ぶ。迷う。決まらない。腹が鳴りそうだ。人が来た。一旦逃げよう。この棚から選ぼう。多すぎて選べないな。このタイトル面白そうだな。あらすじだけ読んでみよう。鳴るなよ、絶対鳴るなよ…

 

 どうにかこうにか、3冊選んで借りた。貸出期間は2週間。読み切れなかったらまた借りたらいい。今年はたくさん文字に触れたい。